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2026.06.23
「中小企業こそ、AIを使え」。30名超の社長と、スマホ片手にAIと向き合った一日。 ― 大阪中小企業投資育成株式会社様 登壇レポート
「中小企業こそ、AIを使え」。30名超の社長と、スマホ片手にAIと向き合った一日。 ― 大阪中小企業投資育成株式会社様 登壇レポート
2026年6月22日、大阪中小企業投資育成株式会社様の主催により、中小企業の経営者の皆様に向けたAI活用セミナーの講師として登壇させていただきました。
会場には、30名を超える社長・経営幹部の皆様がお集まりくださいました。テーマは「AIフュージョン経営実践会(基礎セミナー)― 中小企業こそAIを使え!」。日曜でも休日でもない貴重な平日のお時間を、自社の未来のために割いてくださった皆様に、まずは心より御礼申し上げます。
正直に書きます。今回のセミナーは、私にとって少し挑戦的な構成でした。
なぜなら、AIの話を「聞いて帰っていただく」だけで終わらせたくなかったからです。皆さんにスマートフォンを持ち込んでいただき、その場で実際に手を、頭を、口を動かしていただく。 知識として理解するのではなく、AIを経営者ご自身の脳みそに「接続」し、「融合」させる感覚を、ほんの少しでも体感して帰っていただく。それが今回の狙いでした。30名を超える経営者の方に、一斉にAIと対話していただく——成立するのか、始まる前は私も少しドキドキしていました。
まずお伝えしたかったこと ―「中小企業こそ、AI時代の主役である」
世間では「AIは大企業のもの」「うちのような中小企業には、まだ早い」という空気が、いまだに根強くあります。
私は、これを真っ向から否定します。むしろ、中小企業こそがAI時代の先駆者になれる。 これが、今回一番お伝えしたかったメッセージです。
考えてみてください。大企業がAIを一つ導入するには、社内稟議があり、部門間調整があり、システム部門の確認があり、法務チェックがあり、全社ルールの整備がある。動き出すまでに、気の遠くなるような時間がかかります。
一方、中小企業はどうか。社長が「やる」と決めれば、今日から試せる。 現場との距離が近く、顧客の声がすぐ届き、小さく試して、ダメならすぐ修正できる。朝令暮改さえ許される。この「小さく、速く試せる」スピードこそ、AI時代における中小企業の、何物にも代えがたい武器なのです。
大企業には規模がある。けれど、中小企業にはスピードがある。社長自身がAIを正しく理解し、自社の情報(コンテキスト)を蓄え、戦略立案とPDCAを高速で回していけば、勝機は必ずやってくる。私はそう確信しています。
AIは「便利ツール」ではなく、社長の「凄腕軍師」である
もう一つ、強くお伝えしたことがあります。
AIは、文章を作るだけの道具でも、作業を少し楽にするだけの道具でもありません。
AIは、社長が考える「量」を増やし、意思決定の「質」を高め、現場の実行スピードを上げる道具です。言い換えれば、AIは社長の代わりに経営してくれる存在ではなく、社長の思考そのものを進化させる「軍師」なのです。
特に強調したのが、「戦略フェーズ」での活用です。
議事録やチラシ、メール文案をAIに任せる——こうした「実務フェーズ」の活用は、もちろん大切です。便利さを体感することが、すべての入口になります。けれど、会社の未来を本当に大きく左右するのは、その先にある「戦略フェーズ」です。
どれだけ一生懸命チラシを作っても、どれだけ営業を増やしても、そもそもの戦略の方向性がズレていれば、努力は実りにくい。 戦略のミスは、戦術では取り戻せないのです。だからこそ、自社の強みは何か、顧客は何に価値を感じているか、今の戦略の弱点はどこか——そうした経営の根幹の問いにこそ、AIを使う価値があります。
そしてここで、一つだけ注意があります。AIは、初期設定のままでは、人間を気持ちよくさせるように作られている。 戦略を考える場面で、優秀で論理的な「YESマン」ほど、実は会社を危うくします。だから私は、AIに「あえて厳しく批判させる」使い方を、皆さんにお伝えしました。耳の痛い指摘を、自ら取りに行く。これこそが、経営者にとってのAI活用の真骨頂です。
スマホ片手に、AIを「壁打ち相手」にする ― ミニワークの時間
そして、今回のハイライト。会場の皆さんに、実際にスマートフォンを開いていただきました。
やっていただいたのは、とてもシンプルな流れです。
まず、自社でこれからやってみたいことを、音声で、自分の言葉でAIに話す。 キーボードは使いません。上手に喋る必要もありません。誤変換も気にしない。大事なのは「社長自身の生の言葉」を、そのままAIに渡すことです。
次に、その話をAIに整理させる。さらに、AIに厳しい第三者の立場で批判させる。「この計画の甘い点は何か」「顧客は本当にお金を払うのか」「社長が見落としていることは何か」と。そして最後に、その批判を踏まえて、明日から7日以内にできる「第一歩」へと落とし込む。
会場の空気が、目に見えて変わっていったのを覚えています。最初は半信半疑だった皆さんが、AIから返ってきた整理や指摘を見て、表情が真剣になっていく。自分の頭の中にあった漠然とした構想が、目の前で言葉になり、磨かれ、行動計画に変わっていく。あの瞬間こそ、私が一番お見せしたかった「AIフュージョン」の入口でした。
もし返ってきた答えが浅く感じられたなら、それはAIが悪いのではありません。渡した事前情報(コンテキスト)が少なすぎるだけ。情報を渡せば渡すほど、AIは一般論から、あなただけの個別最適な答えへと近づいていく。 この感覚さえ掴んでいただければ、今日の目的の大半は達成です。
一番うれしかったのは、「AIに否定的だった方」の心が動いたこと
セミナーの終わりに、皆様からアンケートをいただきました。
ありがたいことに、内容についても、講師についても、過分な評価をいただきました。中でも私が胸を熱くしたのは、「また講師の話を聞きたい」という問いに、お一人残らず前向きにお答えくださったことです。これ以上の励みはありません。
けれど、点数以上に私の心に残ったのは、ある方が書いてくださった、この一言でした。
「今までAIには否定的でしたが、今日の講義を受けて、少しずつ活用してみようかなと思いました」
別の方は、こう書いてくださいました。
「正直、もともと関心があったテーマではなかったのですが、とても面白かったです」
私が本当に届けたかったのは、AIにすでに前のめりな方ではなく、こうして一歩引いて構えていらっしゃった方の心です。その方々が、ほんの少しでも「やってみようかな」と前を向いてくださった。コンサルタントとして、これ以上の手応えはありません。
「もっとこういうリアルなセミナーを増やしてほしい」「ぜひ個別でも話を聞きたい」——そんな嬉しいお声もいただきました。一つひとつ、しっかりと受け止めさせていただきます。
結局のところ、AIは「社長自身が使うもの」である
今回のセミナーを通じて、私が改めて確信したことがあります。
今のAIは、IT担当者に任せて済ませるものではなく、経営トップ自身が、自らの手で使うものである。
AIに何ができて、何が危ないのか。どの業務に使うべきで、どこに人間の確認を残すべきか。社員へどう展開していくか。これらはすべて、責任と権限を持つ社長自身が、実際に使い込んだ「肌感覚」を持っていなければ、判断できないことばかりです。
社長がAIを使いこなす。その背中を見て、組織全体が変わっていく。そうやって会社全体に効果を広げていく。今回、30名を超える経営者の皆様と過ごした時間は、私にとっても、この信念を改めて確かめる、かけがえのない一日となりました。
最後になりましたが、貴重な機会をくださった大阪中小企業投資育成株式会社の皆様、そして真剣な眼差しで一日お付き合いくださった経営者の皆様に、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
今日体験していただいた「AIとの壁打ち」を、まる一日かけて、自社のリアルな経営戦略づくりにまで深めていく場が、私の主催する「AIフュージョン経営実践会」です。次回(第2回)は、2026年8月1日(土)、ホテルグランヴィア岡山にて開催します。キーボードは一切使わず、経営者ご自身の「音声」だけで、丸一日AIと徹底的に対話し、本音の経営戦略を構築する——そんな経営者限定のブートキャンプです。
【8/1開催】AI フュージョン経営実践会(第2回)の募集のご案内(5社限定) | 至誠コンサルティング
「今、この瞬間、あなたは何を決断しますか?」
その問いを胸に、私はまた明日から、コンサルタントとしての日常に戻ります。岡山から、そして大阪から、このAI×経営の取り組みを、いつか全国へと広げていきたい。そんな願いを込めて。
ありがとうございました。
至誠コンサルティング株式会社
代表取締役 藤井 正徳

